成長痛について
「成長痛だから心配ないですよ」
このように「成長痛」は比較的に問題のない痛みとして使われることが多い言葉です。
「成長痛」は名前の通り成長過程で生じる痛みだから、異常ではない。
そういうイメージがあるのかもしれません。
「成長痛」とはよく聞く言葉ではありますが、実際にはどのようなものなのでしょうか。
主にみられるのは2〜7歳くらいの子供
もともと「成長痛」とは、2〜7歳くらいの子供に見られる原因不明の夜間の足の痛みに対してつけられた病名です。
夕方から夜にかけて痛みを訴え、朝には何事もなかったように元気に動けます。
また、血液検査や画像検査にも異常は見られず、これといった問題を特定できないものを「成長痛」といいます。
過去には「急激な成長に伴う成長軟骨帯への負担による」という考えもありました。
しかし、現在は「正常の成長過程においては、激しい痛みを伴う成長は存在しない」と言われています。
元々は足の痛みだけに使われていた言葉が、誤解や拡大解釈などされるようになり、今は、成長期に見られる原因不明の四肢関節周囲の痛みをまとめて「成長痛」と呼ばれるようになりました。
さらに、「成長痛」と「成長期のスポーツ障害」がごちゃ混ぜになり、さらに「成長痛」という言葉がもつ意味合いが広がっています。
10歳を過ぎると成長痛は見られない
成長痛が見られるの2〜7歳くらいの子供です。
10歳を過ぎた子供のには「成長痛」は見られません。
スポーツをして痛みがあるのであれば、なんらかの原因があるかもしれないと考えましょう。
「成長痛」だと決め込んで、「気のせいよ」「大袈裟なんだから」などと我慢をさせてプレーをさせていると、気づいた時には障害が進行していることも。
運動時に痛みがあるのであれば、成長痛ではない可能性もあります。
きちんと専門医のところで診察を受けることをお勧めします。
「いつも通り練習はできているし、病院まで行くのはちょっと大袈裟な気が・・・」
いえいえ、診察を受けて何もなければ何もないでいいのです。
何もなくてラッキーだった。それでいいのです。
「もっと早くに気づいてあげればよかった」
後になって、そうならないように。
将来のある子供達の体が健やかに育ち、スポーツを楽しめる。その状況を長く保ち続けていくことが大切です。
成長痛に効果があるのは?
「成長痛」は、検査をしてもこれといった問題が見つからず、経過観察をしても症状が重篤になることもなく、熱がこもったり、腫れたりといった症状もない時に「成長痛です」と診断されることが多いです。
では、成長痛と診断されれば、どのように対応すればいいのでしょうか。
一通りの検査をしても何もないということなので、別の見方をすれば、湿布や「冷やす」必要もないということでもあります。
また、「成長痛」と思われる子供の家庭環境を調べたデータでは、「下の子どもが生まれた」「母親が働きに出るようになった」など、子どもを取り巻く環境の変化があることが多いようです。
このことから、子どもが環境の変化にうまく適応できずに戸惑った際の正常な心の反応とされています。
誤解しないでほしいのは、子供自身は、決して嘘をついているつもりでもなく、仮病を使っているつもりでもないということ。子供は本当に痛みを感じて「痛い」と訴えているのです。
先ほども述べた通り、うまく環境に馴染めない子供の心の反応なので、周囲の大人が優しく見守って、子供の痛みの訴えに真剣に対応していると段々と痛みの訴えが減ってきます。
「大袈裟なんだから」「本当に痛いの?」など子供の訴えを疑ったり、叱ったりしては逆効果です。
「成長痛」は骨や関節によって感じる痛みとは違い、心や脳で痛みを感じています。
「成長痛」には優しい声かけをしながら優しくさすってあげましょう
最も効果があると言われているのは、親がやさしく声をかけ、痛みのあるところを優しくさすってあげることだと言われています。
時には、パートナーに下の子のお世話を任せたりして、夜、子供のそばで添い寝をしてあげてください。
少し時間が作れそうなら、5分でもいいのでゆっくりと子供のお話を聞いてあげるのもいいと思います。
そんなことを繰り返していくうちに、痛みを訴える頻度が減っていくと思います。